NewsPicksのアプリリニューアルについて勝手に分析してみた
ユーザベースが今週NewsPicksアプリのUIを大幅にリニューアルしました。
NewsPicksはだいぶ初期から利用していて、株も少々購入しているので気になりすぐにアップデート。
ユーザベースのニュースより:NewsPicksアプリリニューアルのお知らせ
今回、アップデート後のアプリを使ってみた感想と今後の業績・株価予想を勝手ながらしてみました。
ちなみにユーザベースに関してはこちらも読んでもらえると嬉しいです。
関連記事:ユーザベース株への投資をおすすめする理由
目次
NewsPicksアプリリニューアル直後の感想
アップデートしてアプリを開いたとき、「だいぶ変わったな」というのが最初の印象でした。
事前にリニューアル後のデザインがアナウンスされていたのである程度心の準備はしていたものの、結構な違和感がありました。
とはいえ何事も慣れ親しんだものがいきなり変わると違和感あるものですし、さらなる成長に向けて失敗を恐れず新たな挑戦をしたことは評価したいです。
(ピッカーさんのコメント見る限りネガティブな反応がかなり占めていましたが、、)
これは慣れの問題でしょう。
操作感は作りこまれているなと思いました。
指一本でページスクロール、記事やコメント閲覧・終了などスムーズです。
個人的にはピッカーのコメントを開きづらく感じましたが、このあたりも今後のアップデートで修正してくるでしょう。
広告売上への影響
そしてSmartNewsやGunosyといった他のニュースアプリと同じようにこれまでは上部にカテゴリタブがあり自分の気になるニュースカテゴリに飛ぶという構造だったものが、今回のリニューアルで上部タブがなくなり、ひたすら下にスクロールし続けるワンフィードに変わりました。
これを最初に使ってみて感じたことはアプリを閉じるきっかけが見つかりにくく無限にスクロールし続けることができてしまうため疲れそうだなというのが率直な感想でした。
終わりどころが見つからない(笑)
開くときに気合が必要なのでもしかしたら少し開く頻度が減ってしまうかもしれません。
ただアプリの滞在時間は間違いなく伸びそうです。
このアプローチであれば広告のImpressionも伸びるはずなので月額課金だけでなくもっと広告の方でマネタイズできそうだなと思いました。
昔から他のニュースメディアのような広告満載アプリに慣れてしまっているせいか、短絡的にNewsPicksももっと広告の掲載スペース増やせば稼げそうなのにとは思っていました。
ただ「経済ニュース特化」「有料会員プランあり」とSmartNewsなどのニュースアプリとは立ち位置も違いますしその辺のバランスが難しいのは理解します。
経済ニュース特化なので広告主もある程度選別したいですし、月額払っているのに広告ばっか見せられたらクレームがきて最悪解約されてしまいそうです。難しい。
とはいえ実はすでにNewsPicks事業の広告売上は有料課金と近しいレベルにまで成長していて(2020年Q2決算)これからの広告領域での成長にも期待ですね。
レコメンド機能
そして今回のリニューアルで考えさせられたのはレコメンド機能の部分です。
今回のリニューアルでユーザごとに合わせたコンテンツを配信するレコメンド機能が実装されました。
さらに、1人ひとりの行動様式に合わせタイムラインがダイナミックに変化します。アプリを開く時間や頻度、ピッカーのフォロー、ニュースの閲覧、Picksなど、ユーザーの行動から、ユーザーの嗜好を反映するのみならず、新たな発見をしていただけるよう1人ひとりに適したニュースやコメントを表示します。良質なニュースや注目が集まっているコメントを今まで以上に効率的にご覧いただけるようになります。
NewsPicksアプリリニューアルのお知らせ
これまでの「自分から能動的にニュースを取りに行く」サービスから「自分におすすめのニュースが流れてくる受動的なサービス」への大きな変化です。
自分の興味があるニュースのみが選別されて流れてくる世界って効率的で心地良い世界かもしれませんが、自分と異なる視点や世界を広げるニュースに触れなくなるリスクもあります。
世の中にはいろいろな思想や考え方の切り口があるにも関わらず自分の世界や思想が凝り固まるリスクがあると思っています。
最近ではTwitterなんかが特に顕著だと思っていて、アルゴリズムがどんどん自分の心地良いツイート、自分と近しい思想のツイートに寄ってきていると感じています。
もちろんTwitterなんて気楽にやりたいので自分が嫌悪感を抱くようなツイートは見たくはありませんが、心地よすぎる世界も危険だなと。
ただこのリコメンド機能ってあらゆるインターネットサービスで当たり前になっていて(YouTube、Netflix、TikTok、Spotify、、挙げたらきりがない)リコメンド機能を強化し、ユーザにとって心地良い世界を作り出し、滞在時間を伸ばすことが売上を伸ばす近道であることは歴史が証明しています。
綺麗ごとなんて言っても仕方なく上場企業であるユーザベースが取るべき当たり前のアプローチだったのかなと思います。
今後の業績・株価はどうなるか
今回のニュースフィードのワンフィード化、リコメンド機能強化は、「自分からニュースを取りに行ける意識高い系ユーザに支持されるサービス」から、「仕事で経済ニュースをもう少し詳しく知っておかないとまずいから、とりあえずYahoo!ニュースやスマニュー以外にも入れておこう的な人に間口が広がるマス向けサービス」への進化だと考えています。
今後はNewsPicks内の動画コンテンツなどもよりマス向けの内容も増えてくるのではと予想しています。
そしてこれまでのコアユーザを下手すると切り捨てることにも繋がりかねませんが、経済ニュースアプリ領域にはNewsPicksの二番手というのが明確にはいないように見えます。(日経?)
これはユーザベースのチャンスです。
他事業の市場環境より競合をそこまで意識せず時間の余裕を持ってサービスのブラッシュアップが可能ですし、コアユーザからマス層まで総取りも可能かもしれません。
とはいえ、今回のリニューアルに関してはネガティブな反応が私の周りでもネットを見る限りでも多いような気がします。
勝手な予測ですが多少は有料会員の解約もあったのではないでしょうか。
短期で見ればマイナスの面もあるのではないかと思います。
しかし、リニューアル前のモードもユーザが選択できるようにする、とか前のバージョンにロールバックする、といった中途半端なことはせず、ここは突き進んで欲しいと思っています。
アプリリニューアルが及ぼす影響を勝手に予想
【短期】
大幅なサービス変更により一部コアユーザの有料会員解約あり?
ただ、それ以上にコロナ禍という巣ごもり需要もあり有料会員登録者数が伸びているようなのでポジティブにもネガティブにも働かず。
【中長期】
一時的にはネガティブインパクトもあるが、ユーザの間口(コアユーザだけではなくGunosyやYahoo!ニュースなどをメインに使うマス層も獲得)や広告マネタイズの可能性は間違いなく広がるので、ここから改善を重ねていき次のステージへジャンプアップ
デザインの大幅リニューアル(ワンフィードとお洒落なデザイン)とリコメンド機能実装を行い、マス向けサービスへの土台が完成
↓
これまでのコアユーザも納得できるサービス体験(新しい気づきが得られる。能動的にも情報を取りに行ける)も残しながら徐々に幅広いユーザにも受け入れられるコンテンツを追加
↓
細かくA/Bテストなどを行いながらコアにもマスにも受け入れられる最適解を見つける。
↓
一気にプロモーションをかけてユーザ数を増やして売上爆増
勝手に想像したロードマップはこんな感じです。
そしてマス層にリーチするためには、気軽にアクセスできる会員向け動画(コンテンツやキャスティング含め)が鍵を握りそうですね。
またユーザベースの方々はやりきってくれると勝手に信じています。(知人ほとんどいないけど)
NewsPicksから改善状況の報告
NewsPicksから公式記事で改善状況の報告が定期的に行われていました。
【アプリリニューアル】今週のカイゼン報告 2020.10.31
背景は 2 つあります。1 つは利用体験のシンプル化。これまでの NewsPicks は複数のタブでニュースが分かれていましたが、ほとんどのユーザーの方は総合トップ以外を閲覧されていない状態で、多くのユーザー様にとっては複雑で使い方が分かりづらいアプリになってしまっていました。今回のリニューアルでは、フィードをスクロールするだけで多様なコンテンツや専門的なコメントに出会えるように設計しています。もう 1 つの狙いは、コミュニティの活性化です。これまで一部のユーザーの皆様にご愛用いただいていたマイニュースは、およそ 10% のユーザーの方しか使って頂けておらず、利用するユーザーの方が固定化してしまっていました。今回のリニューアルでは、いわば 100% のユーザー様がマイニュースを持てるようになり、フォロー中ユーザーのコメントや記事との出会いがこれまで以上に発生しやすくなっています。
リニューアル後の改善状況について
マイニュース(ユーザごとにパーソナライズされたカテゴリページ)が10%程度しか利用されていなかったんですね。
後コメントを見て確かにと思いましたが、ワンフィードにすることで有料記事と出会う確率も高まるので有料会員数もさらに増えていきそうですね。
ただ、やはり有料会員なのに広告見せすぎだという意見も散見されている。
うーん、広告モデルとサブスクモデルの両立は難しい。
日本の場合はとくに有料会員になると広告非表示という慣習がありますからね。。
いずれにせよ、ここまできちんとユーザに対して経緯と現状を報告してフィードバックを反映しようとする姿勢は本当にすごいと思います。
こういう風にユーザからの声を怖がずに正面から向き合う姿勢はいろんな企業に広がるといいなと思いました。